「だ・れ・が・・女装趣味、だと??」

堂島さんは依然怖い顔で微笑みながら、あたしの目の前にしゃがんだ。そして、あたしの頬を右手で掴むと引き上げる。

へ!!?

「え、ひゃ、ひゃって・・ち、ちがうんれすか?」

頬を掴まれてうまく喋れない。

「違うんですか・・?だと?」

目の前にある堂島さんの顔は、やっぱり美しい。てゆうか、顔と髪の毛だけ見てたら、やっぱり美少年て感じより、美少女だ。

だけど。

「違うに決まってんだろうが!ボケ女!」


ええーーーー!!?


物凄い形相でそう叫んだカノジョは・・やっぱり、オトコだ!!!

てゆうか怖い!すごく怖い!

うう・・涙出そ・・・。

「ああ?お前な、どこの世の中に好き好んで女子のカッコする男がいんだよ?アホか?なあアホか?ああたまにはいるな、テレビとかで見るもんな、でもな、大概はそんな男いねーだろ!なあ!?」

「はははははいっ!」

あたしは頬を掴まれたまま、ウンウンと強く頷いた。

「オレがこうゆうカッコしてんのは・・!!」

と、そこで堂島さんの勢いが止まった。

あ、れ・・・?

「・・ちっ。」

堂島さんは、苦虫をかみつぶしたような表情で舌打ちをした。

「とにかく!!事情があんだよ!オレには!だからな・・」

かと思うとまた怖い顔になった。

「いいか?バラしたら・・その命ないと思えよ。」

そう言った声が、尋常じゃないくらい低かった。

ほ、本気だ・・・。

あたしはゴクンと唾を飲み込むと、

「はい・・・。」

と、弱々しく答えた。

それを見ると、堂島さんは満足したのか、やっと頬から手を離してくれた。
そして立ち上がると、

「お前のカバンと制服持ってこさせるから、ここにいろ。」

とぶっきらぼうに言って、内線のようなもので電話をしてくれた。