「おい伸吾ー。てめえ全っ然だめじゃねえかよー。」

「まあ演技は最高だったけどな。」

「はは、確かにっ。」

どこからか、3人の男が現れた。

どう見ても、柄が悪いとわかる。それにどうやら、伸吾の知り合いらしい。


なに・・?なんなの・・・?


訳が分からないけど、危険だけは感じた。
3人の男たちが、徐々に近づいてくる。
耳にいっぱいピアスがついていたり、あからさまに入れ墨が入っていたり、怖い・・。


すると、ずっと伏せていた伸吾が顔を上げた。
それはさっきまでのしおらしい泣きそうな顔じゃなく、おかしくてたまらないというような顔だった。

「あーまじ、すんません先輩。絶対いけると思ったんすけどねえ。こいつ、少しは学習したみたいっす。」

伸吾が親指であたしを指した。

先輩?いける?学習?

「し、伸吾・・?」

「ああ?」

あたしは怖ず怖ずと、彼の名前を呼んだ。面倒くさそうに伸吾があたしを見る。

「・・足、洗ったんじゃないの?」

この人たちは、どう見てもソッチ系の人だ。
まともな匂いがしない。

「ああ、それ、嘘に決まってんだろ?お前まじ騙されやすいよな。まじウケるわ。そんだけ騙されやすいんならさ、金も出せよーって感じだけどな。」

伸吾はそういって笑った。
他の3人も「確かに」といって笑う。

「なに、学習しちゃってんだよ更紗ー。昔は黙って金出してくれたろ?俺のためにさあ。今回もそうしてくれよ、な?」

バカにするようにそう言いながら、伸吾があたしの肩に手を回した。

「・・・離して。」

「あ?」

「離してっ。」

あたしは伸吾の腕を掴んで引っぺがす。それと同時に立ち上がった。

逃げなきゃ。どうにかして、逃げなきゃ。

「んだよ更紗。つれねえなー。」

「・・伸吾、変わったね。付き合ってた時は、カッコ悪い所もあったけど、でもそんな風に笑う人じゃなかった。」