「だって……」


そんなこと言われても……
これはもう俺の生活習慣の一部であって、変えることなんてできないし。

仕事で帰りが遅いアヤの両親に鍵ごと“よろしく”されてるわけだし。

それに……


「“プライバシー”とか、今さら気にすることないじゃん。もう、長いつき合いなわけだし。何より…」


スッと手を伸ばすと、アヤの肩がびくっと震えた。

さっきまでの勢いはどこへやら。
まるで危険を察知した猫みたい。

……面白いなぁ。


「俺たち、“つき合ってる”んだから、さ。」


アヤの頬に指を滑らせて、その瞳を覗き込む。


「……ッ」

「“彼氏”が“彼女”の部屋に来て何が悪いの?何か見られて困るようなものでもあるわけ?」


この部屋のことは、アヤより俺のほうが詳しいくらいだ。

ちゃんと掃除だって手伝ってるし。


「むしろ、喜んでくれてもいいんじゃないの?毎日、会えるのはこの時間だけなんだから。」