「来年も、こっちを使って作るから。」

「え?」


叩かれた頭をさすりながら、きょとんとした様子で私を見るハジメ。


「私、今までミルクチョコしか使ってこなかったじゃない?でも、これを使って、甘さ控えめのも作れるようになりたいの。私はビターのが好きだし」

「え…っと…」


言葉の意味をわかりかねているらしい。


「だって、これから先ずっと、ハジメにしか作らないんだよ?このままだったら、ビターチョコを使う機会は一生こないじゃない。」

「え…?それって…」


ハジメの瞳がわずかに輝いた気がした。

わかったかな?

さすがに、私もこれ以上は無理。

面と向かってストレートに、なんて言えるわけがない。

恥ずかしくなってきて、パッとチョコのほうに向き直って、続きを刻み始めた。


「ねぇ、アヤ……?」


そんな私に、遠慮がちにかけられた声。


「それって……」