「え……?」


ほっとしたのも束の間。

ハジメを見れば、なぜか寂し気な表情。


「“計画”はうまく行ってるとばかり思ってたのに…まさか“好きな人”が出てくるとは思わなかった。」


あー…そう言えば、そういうことになってるんだ。

今さらながら思い出す。


「“計画”を練り直さなきゃ、って思いつつ、やっぱり我慢できなくて。咄嗟に思いついた“作戦”を実行してみたけど、見事に失敗しちゃった。やっぱりダメだね。準備不足ってやつ?」


ペロッと舌を出して、明るく言ってはいるけど…無理してるな。


「だから、この前はごめんね。急にあんなことして…」


しおらしく謝る姿に、なぜか胸がキュンとなる。

これが“母性本能”というやつだと思う。

確かに、あのときはびっくりしたし、かなり腹が立ったけど……


「もう、いいよ。気にしてないから…「もう“急に”はしないようにするね」


許そうと口を開いた私の言葉は、見事に遮られた。