……ちょっと待って。

じゃあ……


「…もしかして、最初から“練習”のつもりはなかった…とか?」


まさかと思いながらも聞いてみれば、


「当たり前じゃん。あんなの、普通に考えて“練習”でするようなことじゃないでしょ?」


当然だと言わんばかりに返されてしまった。

そりゃそうだけど……


「アヤのチョコは“練習”だったかもしれないけど、俺のはずっと“本番”だった。アヤとしかつき合う気はなかったし、つき合うもんだと思ってたから。」


私の目をまっすぐに見ながら、きっぱりと言い放ったハジメ。

どこからその自信が湧いててくるんだろう?

思いながらも、どこかで喜んでいる自分もいた。


あれは全部、“練習”じゃなかったんだ。

あのキスにだって、ちゃんと意味があって…気持ちもあったんだ。

悩む必要なんて、なかったんだ……


「だから、急にあんなこと言われて、かなり焦った」