「あっ。冷蔵庫にプリンもあるんだよ?アヤが好きなやつ。俺が帰りに買ってきたから。」


お粥の鍋を火にかけながら、ハジメは得意気な顔で振り返った。


「あ…りがと。」


小さくお礼を言って、私は慌てて目を反らす。


「アヤ……?」


再び、私のほうに近づいてくるハジメ。


「顔、赤いけど平気?やっぱりまだ熱あるのかなぁ?」


首を傾げると、ハジメは私の頬に手を伸ばしてきた。


「……っ」


咄嗟に顔を背けて、後ずさる私。

そして、今さらながら自分の格好を意識した。

薄手のパジャマはボタンが外れてはだけてるし、髪は乱れまくりだし……

嫌でもあの時の状況が蘇ってきてしまう。

慌ててパジャマの襟元をガードしたものの、それはいかにも不自然で……


「……?」


不思議そうに私を見ているハジメ。

でもすぐに、あっ、と何かに気づいたような顔になって……


「心配しなくても、病み上がりで弱ってるところを襲ったりはしないよ。」


しれっと言うと、まるでバカにするみたいに、フッと鼻で笑った。