そして、

あっという間にバレンタイン当日―――


あの日以来、私はハジメと顔を合わせていない。

向こうも、パッタリと姿を見せなくなった。

それは、“気まずい”とか、そういうんじゃなくて……


「……やっと、治ったかな?」


体温計が示す温度を確認して、私は安堵のため息をついた。

時計を見れば、もうお昼をとっくに過ぎている。

なんか、お腹がすいたような気がする。

喉も渇いたし……

のっそりと起き上がって、キッチンを目指す。


ずっと寝てたせいでフラフラするけど…すぐに直るよね?


……そう。

あの日から、約1週間。

見事に風邪をひいた私は、ずっと寝込んでいた。

こんなに長引いたのは久しぶりだ。

お母さんの話だと、今年の風邪はこんなもんなんだとか。

高熱というには大げさな微熱より少し高めの熱が出て、それがずっと続く。

まさに、流行りに乗ってしまった私。

おかげで学校まで休むことになっちゃったし。


何より、

こんなに間が開いてしまったせいで、ますますハジメに会いずらくなってしまった。