私が抵抗しないのをいいことに、ハジメの行為はどんどん進んでいく。

首筋から胸元へ移動する唇。

いつのまにか、私のシャツのボタンを外して、侵入してくる左手。


……なんで、こんなにスムーズに進むわけ?


手慣れた様子で、いとも簡単に私の動きを封じ込めてしまった。


もしかして、

私を騙してた―――?


「アヤ……?俺、ホントは…」


その体勢のまま、ハジメが何かを言いかけたとき……



ガチャガチャ。



玄関で、鍵を開ける音。


そして……



「ただいまーっ」



お母さんの声。



それを聞くなり、ハジメはピタッと動きを止めた。

だけど、決して焦ることはなく……

ゆっくりとベットから起き上がると、


「……残念。ま、でも、まだ時間はあるもんね。」


ペロッと舌を出して、無邪気に微笑んだ。

一瞬ぽかーんとしてしまったものの、状況を思い出した私は慌てて乱れた服を直す。

そんな私の頭をくしゃっとひと撫ですると、


「じゃあ、また明日」


いつものように、ハジメは部屋を出て行った。




……今のは、何?