「ハイ、終わり」


結局、ドライヤーまで持ち出してきて完全に乾かしてやった私。

ハジメも、まるでそれが当たり前のように身を任せていた。

高校2年にもなってマズイでしょ、これじゃ。

わかっているのに、手を出してしまう私も悪いんだけどさ。

……でも、もう終わりにするから。

きっと、これが最後だな。

ドライヤーを片付けながら、ぼんやり考えていると……


「アヤ、ありがとー」


ふわふわ揺れる猫っ毛を手ぐしで整えながら、ハジメはにっこり笑った。

さっきまで膝がくっつきそうなくらいの距離で向かい合って座っていたせいか…顔が妙に近い。

……これは、マズイ。


「アヤ……?」


急に速まる鼓動。

それに比例するように、微妙に近づいてくるハジメ。

うわっ……

このままじゃ触れる…と思った瞬間、

私はパッと顔をそらして、ごく自然な感じで立ち上がることに成功した。


そして……


「私、ハジメに大事な話があるんだ」