「ちょっと…」


おまたせ!と元気よく現れたハジメを見た瞬間、再び大きなため息がもれた。


「あんた、人の話聞いてないでしょ?」

「えーっ?」


相変わらず、ニコニコと笑っているハジメ。

その格好は、さっきドアの前で見たときと何ら変わってはいない。

あれにパーカーを羽織ったくらいだ。


「風邪ひく、って教えたでしょ?」


言いながら、頭の上のタオルをどかせば、当然髪の毛もぬれたまま。


「ひかないよ。だって、俺鍛えてるもん。」


得意気に言うハジメの髪をそのままタオルでガシガシと拭いてやる。

抵抗することもなく、されるがまま。

ホントに手がかかる。


「あんたはひかなくても、私がひくかもしれないでしょ?ハジメが持ってきた“風邪菌”が、私にうつるかもしれないし。」

「えー?大丈夫でしょ。アヤって昔から丈夫だし?そんな簡単にはひかないって。」


ヘラっと笑うハジメ。

はぁーっ……