バックの中から鍵を出して鍵穴に差し込んだ、まさにそのとき……

ガチャガチャと騒がしい音が聞こえたかと思うと、


「あーっ、やっぱりアヤだ!おかえりっ。」


隣室のドアが開いて、ハジメが顔を覗かせた。


「……あんた、風邪ひくよ?」


それを見て、思わずもれたため息。

たった今お風呂から出てきました!と言わんばかりのハジメ。

裸足に薄いスウェット上下。
頭に被ったタオルの隙間から、雫が落ちている。


「すぐ行くから、待っててね。」


私の冷ややかな視線など物ともせずに、笑顔で部屋に戻っていく。

まったく…。コドモなんだから。

なんでそんなに慌てて出てくる必要があるわけ?

飼い主を出迎える犬みたいだ。

呆れながらも、私は持っていたビニール袋に視線を移した。

今日、言ってしまおう。

そしたら、きっと楽になるから。


ハジメだって……