「……なんでいるの?」


ドアを開けるなり、目に飛び込んできた光景に唖然とする。

私、さっき玄関を開けて入ってきた…よね?

思わず手元の鍵を確認してしまった。

家中真っ暗だから、両親もまだ帰ってきていないはず。


一体、コイツはどうやって入ってきたんだ?


首をひねりながらも、私の足はまっすぐにベッドに向かう。


「ちょっと!」


ガバッと布団を引き剥がせば、


「……んー?」


中にいた大きな塊は、小さく声をもらした。


「なに我が物顔で人のベッドを占領してんのよ。」


どけ、と言わんばかりに引っ張ってみるも、さすがにビクともしない。


「んー…?あー…アヤだ。おかえり~っ」


寝ぼけまなこが私の姿を捉えたらしく、目をこすりながらもヘラッとした笑顔を向けた。

……一瞬にして、怒る気が失せてしまう程の“脱力”ぶり。


「遅かったねー。待ちくたびれて、思わず眠っちゃったよ」


ムクッと起き上がって、大きなあくびをしながら、ハジメはぽつりと呟いた。