ハジメには、物心ついたときからチョコをあげていた。

それが“手作り”のものになったのは、中学に入ってからのこと。

特に、意味はなかった。

周りの友達が作ってるから、試しにやってみたら上手くできて……

作るのが楽しくなってしまっただけ。


両親も誉めてくれて、久しぶりに“親子の会話”も弾んだし。

それから徐々に腕を上げていって、3年目のその年はかなりの力作ができた。

寂しいことに、あげる相手はハジメくらいしかいなかったからあげてた。


それだけ。

喜んで味見もしてくれたしね。


だから、私のチョコレートは完全な“自己満足”であって、他の女の子たちみたいな意味は持たない。

ハジメにも、断られない限りはずっとあげるつもりだった。

そうだよ、そもそも……


「そういうハジメはどうなのよ?」

「え…?俺?」


いきなり矛先を向けられて、きょとんとするハジメ。


「ハジメこそ、いつまで私からチョコをもらう気?」