あれは2年前。

中学3年のバレンタイン。





―――………

――……


「アヤはさー、いつまで、こうして俺にチョコをくれるの?」


私があげたチョコレートを頬張りながら、ふいにハジメが真面目な顔で聞いてきたんだ。


「……欲しいなら、別にずっとあげるけど?」


いきなり何だ?と思いながらも、素っ気なく答えた私に、


「……さすがに、そういうわけにはいかないでしょ?」


そのままの表情で、ボソッと呟いたハジメ。


「なんで?」


いつもと様子の違うハジメになんとなく戸惑って目を反らしてしまった私は、さりげなく開いていた雑誌に視線を戻した。


「だってさ、アヤに“好きな人”ができたら、そっちにあげるようになるでしょ?こういうのは、さ。」


そう言って、ハジメが寂しそうに見つめたのは、手元にあった私の“手作り”チョコレート。


「俺には回ってこなくなるじゃん?」