ハジメは、のんびり屋で、鈍感で天然。

はっきり言って、グズでのろま。

全然、男らしくない。

だから、私はいつも手を貸してしまう。

つい世話を焼いてしまう。

それはいくつになっても変わらない。

私にとって、ハジメは手のかかる“弟”…いや、もしかしたら“息子”と言ってもいいかもしれない。

世話を焼く対象であって、“恋愛対象”ではない。

ハジメを“男”として見られるわけがない。

だからずっと、そのままの関係が続くものだと思っていた。


ハジメとは“幼なじみ”。

それ以上でも以下でもないし、そうなることはあり得ない。


なのに―――


時々、こういうことをするようになってしまった。


そして、私たちの関係は微妙に変わり始めた。


でも、そこに特別な意味なんてない。

だってこれは“練習”だから。

きっとハジメのほうは、何とも思っていないはず。


きっと私だけだから。

“あり得ない”感情が芽生えてしまったのは――