「タツキ」 なんでノックと部屋のドアを開けるのを同時にするんだ。 急いでノートを閉じて、その声の主を睨みながら言葉を返した。 「何?…母さん」 母さんは俺の机に不自然に置かれたノートを一瞥(いちべつ)した。 「ご飯は?」 「いらない」 「いらないって……」 母さんは呆れたようにため息を吐いた。 「どこかで食べてきたの?」 「うん」 小さな嘘。