両親よりも実兄よりも恋人に想いを果てる私は、醜く狡い動物だ。 ――AM09:32 「レイ!早くしろよ!」 「うん、待って」 目の前で鮮やかな菊の花が揺れた。リュウくんが石段の上から私を見下ろす。 三日間の入院だった。 身体は何でもないのに沢山の検査を受けさせられた。何でもなかったのに薬を貰った。 身体じゃなくて“中身”が悪かったのかもしれない。 「葬式参加出来なかったな」 「しょうがないよ」