「お兄ちゃんは?お兄ちゃんはどうしたの?」 ――――四月二日 PM04:06 あの時お兄ちゃんに電話は繋がらなかった。いないだけだと思った。出掛けているだけだと思った。だから大丈夫だよね。お兄ちゃんは無事なはずだ。 でも、おばあちゃんはまた目線を反らして下唇を噛み堪えている。その目からは大粒の涙が溢れている。 「…や…うそ…」 もしかしてお兄ちゃんも。いやだ。そんな、まさか。 「いないの」 「いない?」