この店に初めて来たのは、高校の合格発表の日。高校に番号を見に行って入学案内をもらって、そのままの足でこの店に来た。
嬉しそうな顔をして、“何でも頼んで良いよ”って言うお母さんに“ファミレスの方が良かった”なんて言えるはずがなかった。
私はこの喫茶店で退屈な時間を過ごすはずだった。
でも――
“合格おめでとう”
そう言って、目の前に置かれた紅茶を飲んだ瞬間それは変わった。
美味しかった。ただのストレートティーだったのに。それは、すんなりと抵抗もなく私の喉に入って潤わした。
幸せな気分になった。紅茶一杯で。紅茶をもってきた店員さんが、神様に思えた。

