静かになった店内に携帯電話のバイブレーションの音が響く。
それがとても煩わしくて。
せっかく気持ちを落ち着けてリラックス出来たと思ったのに。気持ちを絶ちきらなきゃいけないのに。
鞄の中から携帯電話を取り出し画面を見ずに電源を切る。
それを見計らったように下條さんが奥の厨房から出てくる。
「はーい、良かったら食べてね」
下條さんの両手にはアップルパイとホットティー。
「簡単なものしか作れなくてごめんね」
簡単なものというけど、アップルパイなんて作るの難しいはず。とても美味しいそう。
「いただきます」
アップルパイに口を付ける。予想通りとても美味しい。
「ふふ、お母さんそっくりだね」

