(それが…お母さん…)
「なぁ〜に、暗い顔してんの。あんたが責任感じることないわよ。あんたのお母さんが今の旦那を選んだんだから。あんたには関係ないわ」
確かにそうかもしれないけれど。“一途に想っている人”はもうこの世にはいないわけだから。
どんな気持ちなんだろう。
「レイちゃーん!着替えた?」
「あ!はい」
私がそう言うと更衣室のドアが開き下條さんが入ってくる。
「うん。ぴったり、ぴったり。俺の見立てどおり」
下條さんが貸してくれたこの花柄のワンピースとカーディガン。これは明らかにキャバ嬢さんのもの。
「下條さん、そのアキのですよぉ。怒られますよ」
「いいの。いいの。アキちゃん、着てないじゃん」
そういう問題ではない気がする。アキさんに申し訳ない。
「ほら、レイちゃん。こっち来て。お茶しようよ。どうせ雨降っているし―――その腫れた目じゃ帰れないでしょ」

