「タツキと別れて」



ガツン、金槌で殴られたような衝撃だった。



その痛みが胸に突き刺さる。予想はしていた。タツキさんのお母さんが私のことをよく思っていないことなんて、すぐ分かる。



当たり前だ。殺人者の妹なんだ。その妹と大事な息子が付き合っているなんて。許すはずがない。



許されない。



「貴女みたいな賢い子なら私の気持ち分かってくれるわよね?」



こくり、頷く。



「タツキは大事な息子なの。未だに解決していない殺人事件の容疑者――ああ、ごめんなさい。被害者遺族に関わってほしくないの」



わざわざ言い直す必要はあったんだろうか。反論の言葉を呑み込む。



この人もお兄ちゃんが犯人だと思っているんだ。悔しかった。



誰も分かってくれる人がいない。それよりも。


別れたくないよ。