「ちょっと良いですか?」



――――AM09:31



来たのは個室で仕切られた高級感が漂うレストランだった。



まだ開店前だというのに“この人“が来ると従業員は皆、頭を下げて席へと案内した。


そして彼女は、席に着くと直ぐに煙草を吸いだした。綺麗な上品な感じの方だと思ったのに。



それは関係ないみたいで。



なんの断りもなく、よく未成年の前で吸えるなと思う。紫煙がちょうど私の方向に漂う。



「ああ、ごめんなさい」



そう言うと彼女は煙草の持つ向きを替えた。



「あの……」



私はこの人がどこの誰か知らない。でも、一緒にいる。