「レイ」



ビクッ、と彼女の身体が跳ねる。俺に手帳を見られたくないのか、それを急いで閉じて横に置いた。俺がいるとは思わなかったんだろう。そりゃそうだ。いやそれより―――



「なんでタツキさんがここにいるんですか…?」



「あ…いや、レイんちに言ったんだけど。まだ帰ってきてないって言ってたから。学校行ってみようと思ったんだけど」



そうですか、と言いレイの視線はまた足元へ。両手でハンカチを強く握りしめている手が震えていることが気になった。



何か言わなきゃと思うけれど、何も言えなくて。中退の話も。色々。訊きたいんだ。



お互いに沈黙。



「タツキさん…」


震えた声でレイは言った。









「別れましょう、私たち」