「用がないなら切るよ」
《あるから電話したんだろ。数日前はめそめそしてたくせに急に調子乗りやがって》
「……」
リュウくんは怒ると口が悪くなる。周りのことなんて考えない。思ったことを口に出す。
ある程度、言われることは覚悟していたけどさすがに今のはグサッときた。
確かに。リュウくんの言うとおりかも。私はおかしいのかもしれない。
六日前に両親を亡くした。でも、六日が経ちその事実を受けとめている自分がいる。
普通だったら立ち直れないのかもしれない。日常が突然崩れ去るというのは大きなことなのに。
今まで育ててもらっているという恩があるのに、すぐに立ち直って。
《ごめん。言い過ぎた》
私が黙っていたからか。
リュウくんは自分の言ったことに気づいたみたいで、私の機嫌を伺うように下手(したて)に出て謝ってきた。