これからが“大変な事”になると思った。早く長男にワッパ掛けなきゃいけない。―――どうかどうか、その長男が犯人でありますように。



そう願っている自分がいた。そう願う行為がおかしいと気づかずに。



まあ、したっぱは上に従うしかない。会議室を出ようと俺は椅子をひいて立ち上がる。



「龍!お前、家族に説明行ってこい!」



龍が刑事部長から声をかけられたのを横目に、俺は急いで走り出す。が、



「おい。龍」



龍は逃すまいと俺の腕を掴んだ。



「中野さん。俺には無理です。家族に説明なんて無理…」



急に青ざめた顔をする龍。育ちの良さは未だ健在だ。龍は、家族に会うことをひどく拒む。警察は、犯人や被害者の家族に会うことは避けられないのに。



「大丈夫だ。お前なら出来る」



「はあ!?どこにそんな保障あるんですか!?」



それを自分で言うか。