どことなく重い雰囲気が漂う。
「コウタ、完全なるシロじゃん…犯人じゃねぇよ……」
真吾が言った言葉が胸に突き刺さる。
それを聞いた櫻井さんが何か思い付いたようにハッと顔を上げて私を見た。
「これ私が証言すればっ!コウタは犯人じゃないっ――「ダメですよ」
その言葉をタツキさんが遮る。
「会話の内容を録音していれば別ですけど、通話記録だけではコウタさんが犯人じゃないという証拠にはなりません。
逆にコウタさんが“両親を殺してしまった”と櫻井さんに電話をして貴女がコウタさんをかばっているようにしか思えません」
その言葉を聞いて項垂れる櫻井さん。
言葉というものは非常に繊細で曖昧なもの。信じるも信じないも自分自身。だけど、警察は違う。警察は証拠がない限り信じない。
自分達は証拠がないのに、お兄ちゃんを逮捕しようとして。