タツキさんがそういうと櫻井さんは携帯電話を取り出し、履歴を確認し始めた。
「四月一日……午後6時…34分」
「その時に会えないって言ったんですか?」
「はい」
―――午後6時34分
「そんときはコウタどんな感じだった?」
真吾らしからぬ真面目な顔で櫻井さんに訊く。少しでもお兄ちゃんのことを聞き出そうとしてくれている。
「行けないって言ったら分かったって。俺もまだ家にいるからって…」
“まだ家にいるから”
それだったら何故。
「――…何で防犯カメラに写っていたんだろう」
タツキさんが独り言のように呟いて、それを聞いた私達に沈黙が広がる。櫻井さんだけは驚いていた。
私もそれだけが疑問に残る。
防犯カメラに写っていたことは、病室の外で警官達が言っていた。
聞き間違えたはずはない。わざわざそんな嘘を言うわけない。間違いなわけはない。
お兄ちゃんが駅にいたのは事実だ。

