やばいと思った。 こんなに低く、怒りの含まれた声を聴くのは初めてだった。 怖くて電話を切った。逃げたかった。 「ばか」 「……」 「お父さんもお母さんも逝って兄貴が消えた従妹が危ないことに首突っ込んでたら怒るのは当たり前でしょ」 そうか。全然考えてなかった。お兄ちゃんを捜すということは犯人を捜すということなんだ。 タツキさんに手を引かれて歩き出す。 「やめるか」