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近所には、何故か男の子ばっかりの家が多かった。
引っ込み思案だった私はいつもお兄ちゃんのあとをくっついてまわった。あの頃、私には女の子の友達はいなかった。お兄ちゃんの友達が、私の友達だった。
真吾もその1人だった。
「お母さん!いいから」
真吾の部屋に案内されそこに同席しようとする母を彼は追いやっていた。
「あー何だ…まあ、とりあえずひさしぶり」
黒髪は茶髪に。白い肌は日に焼けていて。一段と男らしくなっていた。
真吾は、お兄ちゃんの小中の同級生。中学卒業と同時に隣町に引っ越した。でも、隣町と行って遠くはない。
高校は違っても、真吾とお兄ちゃんはよく遊んでいた。一番の友達だったと思う。

