「おばあちゃん出かけてくる!お昼いらない!」



そう言って玄関を出た。後ろでは、怒るおばあちゃんを必死にタツキさんがなだめていた。





お兄ちゃんは、私ともタツキさんとも別の高校に通った。ここら辺では1校しかない私立校に。



その高校に私とお兄ちゃんが通った中学校から進学したのは数人しかいない。




「ここ?」



「はい」



おじいちゃん家から自転車で数十分。



閑静な住宅街に来ていた。



その中のある一軒の家の門の前に立つ。



目を閉じて軽く息を吸って吐く。



震えた手でインターホンを押した。