「大丈夫だよ。それだけ知ってれば十分だ」 そう言うとタツキさんはメモ帳に私が言ったことを書き留めた。 「レイ…」 今までとは違う声色で私の名前を呼んだ。 タツキさんと視線が交わる。 「まずは“友達”を捜してみようか」 「捜す?」 「“客”よりは“友達”の方が見つけやすいだろうし」 そっか。お父さん達の交友関係よりもお兄ちゃんの方が私は知っていることが多い。 同級生は知っている。家に遊びに来たことがある人も知っている。 その中に“友達”は含まれているんだろうか。 願うばかりだ。