「……そっか」 ぼろぼろと涙を溢す私の背中を落ち着かせるように規則正しく叩く。 もう片方の手は私の掌の上に覆い被されたまま。 「その“客”は誰か分かる?」 「……分かんない」 「レイの兄貴は誰と会っていたか分かる?」 「…分かんない」 無力だ。あまりにも無力だ。 私はお父さん達とタツキさんよりも近い存在なのに何も知らない。 役に立てない。