「レイは分からないだろうけどね…」




その言葉から始まった。



「かなり大きく報道されたんだ」



タツキさんと私は一緒におじいちゃん家に来た。タツキさんは、おじいちゃん達に挨拶をして、今は私の部屋にいる。



「それは知ってます」



新聞にはでかでかと載っていたし。ワイドショーも放ってはおかないネタだろう。



「事件の概要は?」



そう訊かれると全く分からないことに気づく。私は焦りながら首を振った。



タツキさんが、書くものはあるか?と言ったので私はメモ帳を渡した。




「死亡推定時刻は午後8時から10時」



「そんなに早いんですか!?」



あの時は時間なんて気にしていなかった。



「そう。それでレイが帰ったのが10時半ごろ。その間、騒ぎ声とかは聞こえなかったらしい」



「え?」



「――おかしいんだ」



お父さんとお母さん。そしてお兄ちゃんは助けを求めなかったの?



大声で叫べば少なくともお隣さんには聞こえたはず。



「それで俺は“顔見知り”じゃないかって思ったんだ」