訊かれると思った。



どう答えれば良いか分からず俯(うつむ)いていると、吉村先生は言葉を続けた。



吉村先生は裏表がなく、はっきりしている性格だ。



「XX区に住んでいる生徒は少ないけれど…大きな報道をされたからね。かなりの生徒が知っていると思う」



そりゃそうだよ。うちに遊びに来た子だっているもん。



今は情報社会。携帯電話はあるし。掲示板だったりに“レイの両親が…”って書き込めば、あっという間に拡がる。


「実際に俺も訊かれたんだ。レイは大丈夫ですか?って」


大丈夫じゃないよ。



「もちろんこっちは全力でフォローする。今まで通りの学校生活を送れるように協力する」



その言葉を聴いて安心している自分がいた。吉村先生には感謝するしかない。



自分は沢山の人に支えられているんだ。