お互いに睨みつける。
数十秒。
「……分かりました。15分だけですよ」
「ありがとう」
立ち入り禁止のテープをくぐり抜け玄関のドアを握る。それだけで胃が張り裂けそうだった。
あの日もこうやって。
玄関のドアを開けて目に入ったのは赤。血だった。
これは私の。私がリビングから玄関に行こうとした時の。
それを見るだけで涙が出る。下唇を噛み堪える。
その血の“始まり”であるリビングに入る。
そこにも赤が2つ。
「こっちはお母さん…こっちはお父さん」
分かってしまう自分が怖かった。確かに両親はここにいた。今はもう骨になってしまっている両親がここにいた。
赤い血だまりが乾いた跡がある。
「――――っ」

