「それにしても、一度崩壊したとは思えないな」
「そうでしょう」
「!」
突然返事があったので驚いて見ると、背後に街の住人らしき中年の男が立っていた。
男はニコニコと笑顔を浮かべ、手を差し出して来た。
「いや、驚かせてすまんね。私はこの街に住む者です」
「ああ、どうも。旅人のヴァンです」
バースは軽く触れる程度に男と握手をし、改めて街を見回した。
歩道には木や花が植えられ、沢山の店も並んでいる。アパートやホテルは全面ガラス張りだが、外からは中が見えないようになっていて不思議だ。