「…?雨み『宮村。』
私の言葉を遮って、雨宮が私の名前を呼ぶ。
『…2人で、一緒に映画見ちゃおっか、』
「……?」
いつも変わってるけど、クスリと笑みを零す雨宮は、いつもの雨宮とは別人に見えた。何故だか分からないけど、無性に胸の鼓動が高鳴る。
私の隣に膝をつき、机に手を置く雨宮。
カチャリと、雨宮が机に眼鏡を置く音がした。
私は雨宮の眼鏡が、伊達であることを知っている。
『宮村、』
もう一度、名前を呼ばれれば、頬に熱が、きゅ―っと集まる。
私は、この胸の高鳴ることへの対処法も、頬に集まる熱の下げかたも、何も知らなかった。
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