鼻息も荒く、絶賛の言葉を並べた後、ファン宣言までされてしまった。
俺はもう何が何だか分からず、されるがまま握手までした。

「次回作はもう書かれてるんですか?」
全然。構想すらないです。
何てことは言えず、小説家デビューとはこんなオイシイ思いが出来るのかと、天狗になっていた俺は、
「なかなかいい感じですよ、前作を上回るような自信作が完成すると思います」

なんて、口走ってしまった。
女店員といえば、きゃーすごーい田嶋サンすてきー。
サインなんか書いちゃって。

「楽しみにしてて下さい」



有頂天だった。
ついでに恋に落ちた。

しかし、特にヒットするわけでもなく、比較的早く古本屋に並ぶようになった。