借金取りに捕らわれて

いきなりどうしたの?



不安になって、もう一度、今度は少し大きな声で「秋庭さん」と呼ぶと、


秋庭さんはすぐ横の路地、路地とも言えないビルとビルとの隙間に入り込んだ。



「っつ!!」



私は彼の力強い両手で肩を壁に押し付けられ、小さく呻いた。


秋庭さんには今まで強引にキスはされたけれど、こんな事は始めてで、どうしたのか不安になる。



私…変な事言った?


言ってないよね?



彼は私を壁に押し付けたまま顔を上げなかった。



「どうしたんですか?秋庭さん…」




「…………お前バカなのか?」


「えっ?」


「お前…好きって言った男の前でそんな顔したら…誘ってるようにしか見えねえよ。」


そんな顔って?尋常じゃない赤い顔?


思い出したら、恥ずかしくなってきて、あんな顔を見られたと思ったらまた目が潤んできて視線を反らした。


「だから…そういう顔を」