借金取りに捕らわれて

「そんなに怒ることないだろ。」


「怒ってません。」



振り返らず素っ気なく言い放つと、手に何か当たるのを感じた。



右手を見下ろすのと暖かい何かで覆われるのは一緒だった。



「な、何するんですか!?」



私は真っ赤になって、私の手を何食わぬ顔で繋ぎ(しかも所謂恋人繋ぎで)横を歩く秋庭さんを見上げた。



「また真っ赤になって可愛いな。手繋いだことないのか?」



「ありますよ!!もう!!放して下さい!!」



乱暴に繋いだ手を振るが、放れずびくともしない。むしろ力を込められてより頑丈に繋がれる。



「良いのかな~?恩人にそんな口の聞き方して。」



恩人って!!確かにそうだけど…



「助けてもらったのは素直に有り難いと思いますけど、助けてもらわなくたって顔一回殴られるぐらいで済んでましたよ。」



ふんっとそっぽを向くと手を痛いくらいに握られた。



「イッタ…」



放してと、抗議しようと彼を睨むが…