借金取りに捕らわれて

間もなくして会社の前の停留所にバスが停まった。


順にバスから降りると後ろから来た先ほどの男性社員と強く肩がぶつかり私はよろけて倒れてしまった。


その拍子にメガネも勢い良く吹っ飛んでいく。



「あっ、すみません!!」



彼はそれだけ言うと急いで行ってしまった。



以前は手を差し延べて立たせてくれたのに、見た目が地味だとこうも違うのか…



手探りで辺りの地面をペタペタと探っていると、目の前に影が射した。



「はい。探してんのこれだろ？」



顔を上げると目の前にメガネらしきものがあった。


それを持つ男性らしきシルエット…



「すみません!!ありがとうございます!!」



受け取ったメガネを急いでかけ、顔を上げると…



紫色のシャツに黒のスーツを着た、整った凛々しい面立ちの男性が立っていた。


シャツのボタンは途中まで外されていて…



少し長めの髪も華やかというか…



なんか…ホストっぽい…



私は立ち上がり頭を下げた。