借金取りに捕らわれて

「これはどういうことだ?」


どういうことだと言われましても…

もう呂律が回らなくなってきたし、口を動かすのもダルいし、今秋庭さんがどんなに不機嫌でもこの状況を説明するのは正直面倒臭い。



「俺はなんもしてないぜ!」



無実だと武寅さんは両手をぶんぶんと振って主張するが、なにかピンときたようで顎に手を触れニヤリと笑った。


「まぁきっとさー、俺の魅力にー」


「それはない。」


「いや最後まで聞けよ!」



間髪いれずに否定されても諦めず言い直す武寅さんを無視して、秋庭さんは腕を組み私に向き直った。



「で、いつまでそうしてる気だ。」


「あと、もうしゅこし…」


「……いい加減離れろ。」



業を煮やした秋庭さんに無理矢理強引に離れさせられた私は、かなり不満でしょうがない。

その不満を込めて頬を膨らませ、秋庭さんにじとりと視線を送れば、溜め息が返ってくる。



「何杯飲んだんだ?」


「まだ一杯目よ。はい、お水。」


お礼を言って菖浦さんから水の入ったグラスを受け取り、それをごくごくと飲み干せば、お酒で火照った体に冷たい水が広がっていく。


「お酒弱いのね。」


フフフと菖浦さんは微笑ましく笑った。


「いや、そんなことは…
あや姉、ヒロ何飲んだんだ?」


「芋焼酎のお湯割りよ。」