借金取りに捕らわれて

「!?…お前…」





手を外され、視線の合った武寅さんは目を見開き何故か驚いた顔をしていた。



「?」




「初めてだ…」




「えっ?」




細く呟かれた言葉が聞き取れなくて聞き返した私に、武寅さんの手が伸びる。






「泣いてるやつを綺麗だと思ったのは…」





予期せぬ言葉に、一瞬動きが止まってしまった私の頬を流れる涙を、武寅さんの大きな手が掬っていく。



「なぁ、ヒロ。俺の女にならないか?」




「!?」




「俺はお前が気に入った。」





今度は驚き過ぎて涙も止まってしまった。