借金取りに捕らわれて

あぁ、そっか…
武寅さんが追っ手から逃げていたのは、人数のせいじゃなかったんだ…




「避けてればいずれ諦めるだろうと思ってたが…
俺以外の奴に危害が及ぶ可能性がある以上、決着付けねえとな。」





そう優しく笑った武寅さんに、私は何も言えなかった。

武寅さんはけじめを付けに行くんだ…





「取り敢えず、工場の中に入って待ってようぜ。」




「ここ入れるんですか?」



「あぁ、鍵は壊れてるからな。」




武寅さんが軽く押すと、寂れた扉は簡単に開いた。