借金取りに捕らわれて

悲鳴を上げる脇腹を押さえながら、冷たいコンクリートにしゃがみ込んで、上がった息を整えようとするけど、肺も心臓も中々落ち着いてはくれそうにない。




それに引き換え、武寅さんは呼吸は荒いものの私みたいに疲れてる様子はなく、まだ走れる体力は残ってそうだ。




冷たい壁に背中を預けると視線の上がった瞳に、遠くのビルとビルの間から漏れたネオンの明かりが映った。

明かりは見えるけど、喧騒もここまでは届いてはこない。

しかも、さっき入ってきた入口は広い道路に面しているのに、車が行き交う音もなく人通りは全くない。
ここは音が遮断されたようにとても静かな所だった。




随分遠くまで来ちゃったな…




視線を下げると今度は、大きな工場の前に運搬用の大型トラックが何台も入れそうな広い駐車場が映った。

工場の敷地を明かりの消えた低いビルが取り囲んでいるけど、ここが凄く明るいのは工場の屋根からいくつもの強いライトが敷地内を照らしているからだ。

きっとこんなに静かな所なんだから防犯のためなんだろうな。