借金取りに捕らわれて

「可愛いくねぇな~容姿が地味なんだから、性格くらい可愛いくなれよ。」




「なっ!!それって―」と抗議しようとした時、後ろから男達の声が迫ってきた。





「「いたぞ!!こっちだ!!」」





「やべぇ!!見つかっちまった!!」





走りながら後ろを振り返ると5、6人の柄の悪い男達が迫って来ていた。





「こっちだ!!」と武寅さんに腕を引かれ路地を曲がり、そのまた角を曲がり、入り組んだ迷路のような路地を慣れたように走り抜ける彼の背中を必死で追った。




そしてやっと止まることが出来たのは、とある廃工場の敷地に逃げ込んだ時だった。




その頃にはとうに肺と脇腹は限界を越えていた。





「ここまで来れば大丈夫だろう。お前大丈夫か?」




工場をぐるりと取り囲むコンクリートの壁の影に身を潜ませ辺りを伺いながら、息の上がった私を心配して武寅さんが声をかけてくれる。

だけど、私は頷くだけで精一杯だった。