「とりあえず手でもつないでおくか?飛び立つとき、すごい揺れるぞ」


「えっ?」


龍守に真剣な表情でそう言われて、緊張で心臓がドキンと高鳴った。


「ハハッ。そんなに揺れるわけないだろ。まあ着くまでかなり時間かかるし、寝とけ」


そう言って龍守は、結局私の手をギュッと握った。


それから数十時間後、私たちは美結ちゃんのいるアメリカの地に降り立った。


「ねえねえ、美結ちゃんって空港に来てるんだよね?どこかな?」


いろいろな手続きが終わって、美結ちゃんと愛人さんを探すために首をきょろきょろと動かす。


「俺から離れるなよ。結菜はすぐに迷子になるから」


「うっ……」


確かにここで迷子になったら一生日本に帰れないような気がして、龍守の手をギュッと握り返す。


龍守に手を引かれるようにして歩いて、美結ちゃんたちと待ち合わせをしている場所に向かう。


しばらくすると、美結ちゃんが私たちに手を振っているのが目に飛び込んできた。


「美結ちゃんだ!」


龍守の手と、反対側に持っていたキャリーバッグをパッと離し、美結ちゃんのもとに駆けていく。