チュッと音を立てて、唇が離れる。


「その顔、ヤバい。そそられる」


「なっ、バカ龍守」


「そんな顔するなら、やっぱり電車は乗せられないな」


「どんな顔か知らないけど、こんな顔、龍守しか見せないよ?」


龍守のシャツをギュッと握る。


「当たり前だろ。俺以外に結菜にそんな顔させられないし」


そう言って今度は、優しいキスが下りてきた。


「ねえ、龍守。電車、乗っちゃダメ?」


「しょうがないな」


龍守が私の頭をゆっくりとなでる。


「迷うなよ?」


「うん」


「あーほんと心配だし」


「もう、子供扱いしないでよ」